今週から始まった連続テレビ小説のタイトルが「べっぴんさん」...昭和の関西人には身近に感じるコトバである。関西・九州出身の人は、この言葉の意味が分かるだろうが、若年層の人は使わなくなったコトバかも知れない。首都圏で使うことはない。その意味するところを知らない人も多いのではないか。
べっぴんさんとは美人のことである。しかし、深窓の令嬢タイプの美人には似合わない。明るくて気立ての良い、隣のお姉さんのような美人を指して、「べっぴんさんやなぁ」という。社会人になって東京に勤めるようになって以来、「べっぴんさん」というコトバは使ったことも聞いたこともなくなった。マスコミでも聞いたことがないと思う。遠くの昔に死語になっているのかもしれない。Wikiにも説明はない。
連続テレビ小説では「別品」と表記していた。普通のものとは格別に違う上等な品物という意味だ。語源由来辞典によれば、江戸時代の歌舞伎脚本に「別品」の表記がある。本来は品物をさす言葉だったが、優れた人物を意味するようになり、さらに女性の容姿のみをさすようになった。それに伴い、高貴な女性(中国・皇帝の側室や女官)を意味する「嬪」を当てて、「別嬪」と書くようになった。夏目漱石の小説では「別嬪」と表記されている。
余談だが、「すっぴん」は「素嬪」と書いた。素顔が美しい高貴な女性のことである。タレントが「すっぴんで~す」といって素顔を晒すことがあるが、「素嬪」とは言えない場合がある。時代とともにコトバが変わるのは世の常だが、昭和の人間にとってなじみのあった「美人」、「二枚目」、「男前」、「ハンサム」といったコトバが使われることが少なくなった。マスコミでやたらと使われるのが「美女」、「美魔女」、「イケメン」だ。
日本のテレビを見たときやたらと使われる「イケメン」とか「ヤバイ」って何のことか分からなかった。イケメンは「イケてる面またはmen」で容姿が格好いい男のことだそうだ。もともと関西圏で使われるコトバ「イケテル」は「イカス」(魅力的、格好いい)が変形した言葉。ネット検索すると、TV番組「めちゃ×2イケてるッ!」から頻繁にマスコミで使われるようになったそうだ。