内村航平、大逆転の金メダル。オリンピック体操個人総合2連覇達成!44年ぶりの偉業である。 5種目が終わった時点での一位ベルニャエフとの差0.901を逆転するのは至難の業だった。 最終種目の鉄棒で、内村は見事に美しい演技を行い、15.800という高得点を得た。
最後の演技者ベルニャエフは、14.899以上をだせば優勝だった。 予選では15.133を出しているので彼の楽勝ではないかと思われた。 しかし、結果は14.800だった。その瞬間、内村の個人総合優勝が決まった。 わずかに0.099の差である。
歴史的に見ても稀に見る激戦だったと思う。前半は内村が首位に立ち、 ベルニャエフが追う立場だったが、後半は立場が逆転し、 残り1種目を残して0.901の差が開いた。手に汗握る展開だった。
加藤凌平もメダルの可能性がある位置に立っていたが、 最後の鉄棒で落下という致命的なミスを犯し、11位に終わってしまった。 ベルニャエフも加藤も22歳、これからの世界体操を背負って立つことになるだろう。 4年後の東京5輪に向けて熾烈な戦いを繰り広げていくことが期待される。
- Artistic Gymnastics Men's Individual All-Around Final - Ranking
- 同上 - Results(pdf)
- 『難度認定及び演技実施の確認事項と FIG 通達』(改訂版)2016/
勝敗を決めた鉄棒の演技
内村とオレグの演技を見比べると、明らかに内村のほうが完璧で美しい。内村のEスコア(実施点)が8.7に対して オレグは8.3だった。これに関して内村選手の元同僚の植松鉱治氏(29)が解説していた。
「ひねり技の後に逆手でバーを持ったときの角度が低かったり、離れ技のあとの大車輪にいくときに肘が大きく曲がっていたりしました。 着地も大きく前に出ていますから、これも減点対象。すべてうまくいっても15・1~15・2点の構成ですから、あの演技で14・8点は問題ないスコアです。」 (日刊スポーツ2016年8月11日の記事より)
Dスコア(難易度)では、内村がF(コールマン)/G(カッシーナ)難度の技を組み込んだ構成(EGDDFDDBCE)で7.1に対し、オレグは最高E難度まで (EDDDDDBCCBE)のため6.5、これだけで0.6の差があった。D+E合計で内村が1.0上回った。その結果、総合点で内村が0.099上回ることになった。