標高1500メートル、上高地で清々しい朝を迎える。穂高連峰の尾根上空には白い雲が漂ってきた。
吊尾根に刺さるように浮いているのは飛行機雲だ。

「や~まがい~のち~と いってたあいつ~…」
雪の穂高に消えた友人を悼んだ歌の一節だ。山を愛した人なら一度はくちずさんだ歌だろう。昔の山の仲間が、「青春の穂高」だといっていた。私にとっても穂高は青春時代の懐かしい思い出の場所だ。雪を被ってはいないが、西穂から奥穂、吊尾根が見せる男らしい山容に憧憬の念をいまも抱く。
同じ場所から何枚も写真を撮り、場所を変えてまた何枚も撮った。迫力ある岩山の雰囲気を残すために、何枚かの写真を一枚のパノラマ写真につないだ。