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赤ちゃんのヒミツ
- 赤ちゃんは本能的に人の顔を探し、相手の表情を真似るようになる。泣くことで自分の意思を伝える。疲れてむずかっているときは口を大きく開けるため、あ~という音で泣き始める。おっぱいが欲しいときは舌が口の上のほうにくっつくため、ね~という音から始まる。
- 生まれつき泳ぐ能力を備えている。水の中に入ると反射的に鼻での呼吸を止める。口を大きく開けても胃や肺に水が入ることはない。本能的に手足で水を蹴る。母親のおなかの中と似ているからかもしれない。
- かわいらしさは赤ちゃんにとって生き延びるための最大の武器。大きな瞳、愛らしい口と鼻、そして広いおでこ。その姿を見ただけで心が和む。ペットは赤ちゃんのこうした特徴に似るように進化したといわれる。
- 赤ちゃんの視界は二重になってぼやけている。両目で捕らえた情報を脳でうまくひとつにまとめられないからである。目の筋肉が強くなるまで、赤ちゃんの目の焦点が合うのは顔からおよそ20cmのところだと考えられている。母乳を飲むときにちょうど母親の目がある場所である。
- 明るくてハッキリした色のおもちゃを好む。これは赤ちゃんの眼がコントラストのハッキリしたものによく反応するからである。色彩感覚が未発達なため、最初は鮮やかな原色だけを認識する。微妙な色のちがいを認識できるようになるには数年かかる。
- 聴覚はかなり発達。内耳はすでに完全な状態。しかし脳が未発達のためエコーがかかった音に聞こえる。高い声でゆっくりと繰り返しながら話すと聞きやすくなる。大きな音に平気なのは、母親のおなかの中では90db(スポーツカーの轟音)の音を聞いていたからだ。
- 生後3ヶ月は1日16時間眠るが、脳は眠っていない。眠りは浅く、大人の2倍近く夢を見る。脳はその日起きたことを分析している。
- 情報を分析するために睡眠は不可欠で、赤ちゃんのときの経験はすべて脳の形成に影響を与える。見たり聞いたりして手や鼻が反応するのは、脳の各部位の役割分担が未発達だからである。
- 骨は100個(2歳でも70個)多くある。頭蓋骨は5枚に分れており成長とともにつながる。手首や足首の骨は生まれてから作られる。新生児には膝小僧もない。膝の軟骨が骨になるのは数年後。転んだり歩く練習の刺激を受けることで形成される。
- 体重は1年でおよそ3倍に、身長は1.5倍になる。急激な成長には莫大なエネルギーが必要、それを支えるのが母乳で、母乳に含まれる脂肪は脳の成長に欠かせない。離乳後はカロリーの高い甘いものを好む。苦いものは苦手。母親が妊娠中に食べていたものは赤ちゃんも好きなようだ。まもなく赤ちゃんは何でも口に入れるようになる。汚く食べ散らかすほど学ぶのが早いことが分かってきた。液体か固体か、あるいはその中間か、区別する訓練になるからだ。
- 触っても安全かどうかは試行錯誤しながら学んでいく。しかし中には本能的に避けるものもある。多くの赤ちゃんは植物を嫌う。毒や棘のある植物から身を守るための進化の結果だと考えられている。赤ちゃんは動物を恐れない。襲い掛かる豹は大きな猫くらいにしか思っていない。何を恐れるべきかは経験や大人から学んでいく。
- 9ヶ月くらいになると這い始める。筋肉が増え骨が硬くなってくると歩き始める。転ぶことが多くても足で動きたいという欲求は止まらない。よちよち歩きをするのは体のバランスをとるためである。
- 将来大人の世界で生きていくために身につけなければならない大切な能力がコミュニケーション能力だ。2才頃までに話すための準備をする。泣くことから初め、笑うことを覚えていく。笑みを浮かべるのは本能によるもので、一日に300回微笑む。1歳半ころになると人生最大の発見をする。自分である。鏡に映る自分の姿を見止め、自我に目覚めると、やがて難しい局面が訪れる。癇癪である。世界が自分を中心に回っていると信じてきた赤ちゃんは、他人の気持ちを推し量ることを覚える。生後3ヶ月でいろんなタイプの人間がいることを認識する。ひとの気持ちを理解し、慰め、苦しみを分かち合おうとする。
- おとなは母国語を構成する音しか認識できない。しかし生後半年の赤ちゃんは世界中の言語を構成するあらゆる音の違いを聞き分ける。赤ちゃんはどんな言葉でも覚えられるように生まれてくる。