宮本武蔵の集大成「五輪書」。「兵法は全てに通じる」と説く宮本武蔵独自の兵法論を学ぶことで、 現実社会を生きる私たちにも通じるメッセージを読み解いていく。
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第1回 兵法は全てに通じる
自らの経験に基づいて自分の言葉で書くと述べた「序」と、五巻全体の構成を示すとともに、 兵法が剣術だけでなく武士の法すべてに関わり世間のあらゆることに通じると説く「地の巻」。 そこで展開された、大将と士卒を大工の棟りょうと弟子の関係にたとえて説くリーダー論、 組織論は一般社会にも適用できる。
また、戦場におけるさまざまな武器の長所短所、 物事の「拍子」(リズム、機)を知ることの重要性、道を学ぶ者が知るべき9か条の心得など、 他の分野にも通じるような兵法の基本を論じている。 そこには、剣術だけでなく、 座禅や書画に通じ、農・工・商の生活にも詳しかった武蔵ならではの洞察があった。
第2回 自己を磨く鍛錬の道
入れる器に従って変化し、一滴にもなり大海ともなる「水」。そのイメージによって「兵法の道」の核となる剣術の基礎を説く「水の巻」。 隙のない自然体で、どんな状況下でも、緊張することなく、心を静かにゆるがせ一瞬も滞らせず、 状況全体と細部を「観・見」二つの目で偏りなくみる。
まさに「水」にならって、身体と心を日常から鍛え上げていく方法を武蔵は克明に記述している。 その上で、実戦の戦い方を徹底して分析し、様々な打ち方、攻め方を具体的に指南する。 そして、昨日より今日、今日より明日とよりよくなるように工夫して、それを「千日」「万日」と継続していく「鍛錬」こそが重要だと説くのである。 第二回は、「水の巻」に即して、「自己鍛錬の方法」「専門の道を極める方法」を学んでいく。
第3回 状況を見きわめ、活路を開け!
最初は小さな火でもたちまちのうちに大きく燃え広がる「火」。そのイメージによって、一個人の剣術勝負の極意が、大勢の合戦の場面にもそのまま通じることを解き明かした「火の巻」。 戦う場の特性を常に自分に有利にもっていく「場の勝ち」、戦いの主導権を握るための「三つの先」、さらに敵が打ち出す前に抑える「枕のおさえ」を説く。
敵をよく知った上で、敵の構えを動かし、敵をゆさぶるための心理戦も駆使して、敵が崩れる一瞬を逃さずに勝つ。武蔵は、剣術勝負だけではなく、 大勢が戦う合戦においても、確実に勝利に結び付けていく「勝利の方程式」を徹底的に追求しぬいたのである。 第三回は、戦い方の根本を説く「火の巻」から、現代のビジネスやスポーツ等の分野にも応用できる「状況を見極め、活路をひらいていく方法」を読み解いていく。
第4回 己が道に徹して、自在に生きよ!
世にある他流派の間違いを根本的に批判し、真の兵法のありようを浮かび上がらせる「風の巻」。そして、真の兵法の追求の仕方と究極の境地を明かした「空の巻」。とりわけ「空の巻」では、地水火風の四巻で兵法の具体的な心得を学んできた者に、「空(くう)」を示すことによって、より深く無限なものがあることを教える。
魚住孝至さんはそれを「自分には未だ知りえない世界があることを自覚し、自らが心のひいきや目の歪みに捕らわれていないか、と思い取って修練を続けていくべきこと」を示す指針だという。第四回は、武蔵が「少もくもりなく、まよひの雲の晴れたる所」と表現する「空」のあり様を明らかにし、「より大きなところから自分自身を見つめる視点」や「偏りや歪みから解き放たれた、自在なありよう」がどんなものかを学んでいく。