精霊の守り人

放送90年大河ファンタジーと題して「精霊の守り人」、今夜21時から放送される。原作者、上原菜穂子さんは文化人類学者。文化人類学の研究体験がファンタジーを生む出す想像力を養った。世界各国で翻訳・出版され、国ごとに主人公バルサのイメージが異なる。2014年にアンデルセン賞を受賞した。児童文学の世界でのノーベル賞とも言われる賞である。

精霊の守り人の大きな特徴は、主人公が女用心棒だということだ。バルサを演じるのは、綾瀬はるか。重い剣を振り回す激しいアクションをこなしている。10代のバルサを演じるのは清原果耶(14)、「あさが来た」でレビューした女優だ。

"放送90年"とはどういうことなのか?テレビ放送は1953年2月1日に開始されたから、放送63年だ。NHK放送文化研究所HPの歴史を見ると、東京放送局が愛宕山に移転してラジオの本放送が始まったのが1925年。翌年に「社団法人日本放送協会」が発足している。このときから数えて90年ということだ。

バルサ Balsa

主人公の名前バルサの由来、作者の意図は知らないが、自分にとっては「バルサ材」を連想する懐かしいコトバだ。Balsaはスペイン語で「いかだ」の意味で、木材としては非常に軽く、模型などに使われる。ハリウッド映画で大量に作られる大道具、小道具もバルサ材を多用している。

バルサ材は、少年の頃に作った模型飛行機の材料だった。軽くて、加工しやすく、接着剤で組み立てることができた。模型飛行機の動力は、ゴム。ゴムで固定されたプロペラを巻き、ゴムの弾力でプロペラが回る仕組みだ。

模型飛行機だけでなく、模型の舟もバルサ材を使って制作した。テレビやゲーム機のない時代、模型を作るのは当時の少年たちの大きな楽しみだった。

バルサ材は小さい子供にとっては高価だったため、お小遣いでは買えなかった。小学校高学年になって、祖父母の「夜なべ」を手伝って稼いだお金が唯一の資金源だった。「夜なべ」とは、日が暮れて農作業ができないときの副業で、縄を編んだり、藁草履を編んだりして売る、今でいうアルバイトだ。中高生になってはじめて外で働くことができた。硬球を作ったり、土方仕事をしたりして稼ぐことができるようになった。

話が逸れてしまったが、バルサ材を買えるようになり模型飛行機を作れるようになったときは嬉しかったものだ。バルサ材の前は、主に「竹」を利用した制作だ。典型的なのが竹トンボや竹笛だった。中でも面白かったのは「竹馬」だった。文字通り、竹だけで作る竹馬だった。足を乗せる部分を、火で炙りながら凹状に曲げて作るのがいちばん難しかったがやりがいのある作業だった。

司馬遼太郎スペシャル HOME