相棒11#11「アリス」

2013年1月元旦に放送された「アリス」の再放送を見た。途中からだったので後半1時間しか録画できなかったが、なかなか見ごたえのある内容で面白かった。番組案内はこうだ。

「57年前、一人の少女が忽然と姿を消した...。当時その少女と一緒にいた女性・二百郷朋子が2012年12月24日、75歳で息を引き取った。朋子の臨終に立ち合った弁護士から旧知の仲である右京へ連絡が入る。朋子はいまわの際に「ヒナギクじゃなかった。茜が危ない。あの子を助けて」と謎の言葉を残したという。茜にとって朋子は大叔母にあたる存在。茜とは面識のない右京だが、弁護士の連絡を受けて二百郷家の屋敷へと向かう。」

朋子は酒井和歌子、茜は波璃が演じていた。57年前の失踪事件の背景と現在の殺人事件につながる謎が明らかにされていく。吉田内閣のときの警察法改正法案(1954年2月15日提出)をめぐる与野党の対立、衆院本会議の大混乱、そして警官隊がはじめて国会に入るという前代未聞の騒ぎなどは史実である。 この法案の中の『国家公安委員会は、戦前の特高警察と同じ』であると左派政党が大反対した。 6月3日の衆議院本会議は、2日間の会期延長をめぐり大混乱。 議長の堤康次郎が警官隊の出動を要請した。

しかし、公安警察をつくるときに、違法な情報収集や工作が行われたことや、この工作の連絡係に元法務省官僚で歴史にも明るい国枝が選ばれたこと、国枝が任務の過程で知った情報をまとめ(「国枝文書」)、当局から奪われる心配のない場所に隠そうとした~といった話はフィクションである。

史実とフィクションを組み立て、国枝文書や旧華族の財産の隠し場所をめぐる謎、57年前の旧華族の娘の失踪、旧華族が集まっていたホテルの火災などの謎が絡めたストーリー展開は傑作である。戦後の財閥解体、旧華族の没落などの歴史も思い起こされて面白かった。タイトルがなぜ「アリス」なのかは、最後の隠し場所の謎解きをみれば、「なるほど」と合点がいく。

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