鬼ケ城周回歩道

鬼の見晴台から城跡に戻ると右手に「さくら道を経て鬼ヶ城東口へ」という案内板があった。松本峠に戻って西側の七里御浜に行くのを止めて、東に下った。

さくら道という名のとおりに斜面にはたくさんの桜の木(約2000本)があった。桜が満開の頃にまた来たいものだ。うねうねと続く斜面の道を下ると、駐車場と売店があった。ここに車を止めて鬼ヶ城を見学するのだろう。20代と思しきカップルが歩いて行くので、後をついて行った。このときは鬼ヶ城についての知識はまったくなかった。

日が暮れるまでにまだ時間があったので見学することにした。断崖絶壁が続いていた。5分ほど歩くとライオンの顔のような巨岩が海に突き出していた。ここを見て引き返す人がいる。先のカップルも引き返した。

好奇心を捨てられず、先へ行ってみることにした。荒波に削られた海蝕洞がたくさんある景勝地だった。「天候にかかわらず高波が発生するので注意!」という警告がいくつもあった。岩が幾重にも重なり合った断崖の狭い歩道を歩く。鎖が張ってあるだけで、高波が来たら命はないと思った。歩道が下って海が近くなると、荒波が岩に砕ける音が激しくなり、海蝕洞にこだまして不気味な鬼の声となる。誰も歩いていないので心細くなる。

日が暮れ始めた。もうちょっと先を見ようと歩いて気がつくとかなり遠くまで来てしまった。引き返すか先へ進むか迷う。引き返せば、暗くなって危険な場所を歩くことになる。進めば帰り道が遠くなるが、先を見たいという興味もあって先へ進むことにした。七里御浜が見えたときはほっとした。すでに日は暮れていた。

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2012

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