恋の大和路 新ノ口村

自転車で散歩に出かけたついでに思い立って、母方の祖父の生誕地を訪ねた。 近鉄橿原線の大和八木駅と新ノ口駅の間、耳成山の西側に位置する。 子供時代に母に連れられて訪ねたと思うのだがほとんど記憶に残っていない。

曽我川を遡って今井町に着く。 蘇武橋の大木の隣りに「蘇武の井戸」がある。良質の水が湧き出る井戸で、聖徳太子が斑鳩から橘京(飛鳥)に通う途中で 飲まれたとも愛馬の黒駒に水を与えられた井戸とも伝えられている。ここから南側の飛鳥川沿いが再開発されてきれいになっていた。

今井町から八木町を経て北へ10分ほど行くと新ノ口である。 駅前の小さなロータリーに「新口村雪の別れ」の絵碑が建っていた。 浄瑠璃「冥途の飛脚」(近松門左衛門原作)に出てくる忠兵衛の出身地で、善福寺(前身は青光寺)に忠兵衛の供養塔がある。 「冥土の飛脚」を改作したのが「傾城恋飛脚」、これをさらに脚色した歌舞伎が「恋飛脚大和往来」で、通称「梅川忠兵衛」と呼ばれる。 いずれも最後の段は「新口村」が舞台である。

宝塚歌劇では「心中・恋の大和路」と題したミュージカル仕立てになっており、初演は1979年である。 今年(2014年)は宝塚歌劇100周年を記念してのスペシャル企画で、雪組が演じ東京特別公演も行った。 文楽でも、歌舞伎でもない、宝塚ミュージカルの梅川(壮一帆)・忠兵衛(愛加あゆ)が演じられた。

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