東田子の浦~熱海

昼食後、静岡を建つ。午後2時過ぎに東田子の浦で途中下車した。中学校で習った山部赤人の短歌、「田子の浦ゆ うち出でてみれば 真白にそ 富士の高嶺に 雪は降りける」を思い出したからだ。田子の浦がどこなのかは知らないが、東田子の浦という駅名に惹かれた。北のほうに富士山が見えるはずだが、雲がかかって見えない。防風林の松林を突き抜けると海辺に出た。平日の午後の海辺には誰もいなかった。遠くに沼津の市街地と伊豆半島が見えた。

海辺で2時間ほどのんびり過ごしてから次に来た電車に乗った。15分おきに電車があるので時刻表を気にする必要がない。夕食はうなぎを食べようと思って三島で下車した。むかし仕事で何度も来たことがあるが、新幹線とタクシーしか使っていないから駅周辺の土地勘はまったくなかった。ただ美味しいうな重があったことだけを覚えていた。

早めの夕食を済ませ、駅周辺をぶらぶら歩いた。名所の楽寿園は閉演していた。南へ下っていくと「白瀧公園」があった。夕暮れ時で園内に人影はなかった。富士の地下水が湧き出て川に流れ込んでいる。ちょっとした庭園の雰囲気があり、お気に入りの場所になった。

熱海で乗換えだったので、ここでも途中下車した。昔風の喫茶店を探す。駅前に一見あったがすでに閉店していた。時刻は午後7時を過ぎていた。駅前商店街もほとんどの店が閉まっており歩いている人もほとんどいなかった。なんだかわびしい街のたたずまいだった。

東田子の浦

三島駅

熱海駅

〔追記〕

 山部赤人が詠んだ田子の浦がどこなのかを知らず、 JRの駅名「東田子の浦」に惹かれて途中下車した。その後、少なくとも三回訪れた。 直近の二回は駅の北側にある浮島が原で、富士山の眺めがすばらしかった。

最近になって気づいたのだが、JR吉原駅の西側の入り江が「田子の浦」である。 この辺りは工業化が激しく、紙パルプ、穀物、セメントなどの工場や石油精製所が 数多くあり、環境問題が深刻で川と田子の浦の水質は汚染されてきたそうだ。 吉原駅周辺は工場地帯であることが車窓から分かるので、途中下車する気になれない。

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