写真整理ソフトPSP95

写真(画像)の編集・整理用のソフト、それも無料で使えるものがたくさんある。わたしはこれまで十数種類のソフトを使ったが、年を経るごとにいいものがリリースされてきた。プリンタやスキャナー、そしてデジカメを買うとかならず編集・印刷用のソフトがついている。わたしもNikon, Sony, Casio, Canon, Epsonのソフトを使った。もちろんパソコンにもたくさんの付属ソフトがあるし、Vectorや杜の窓を覗けば、フリーウェアがいっぱいある。また、グーグル博士に聞けば、たくさん(200万件!)教えてくれる。

選択の問題である。これが難しい。機能や性能だけでなく、デザインや使い勝手など個人の好き好みもある。グーグル博士がリストアップした記事のトップは、当然Picasa(Googleが買収した)である。二番手が、All Aboutの記事「写真を加工・整理する - [はじめてのパソコン]」だった。内容は、PRが4件と「・・・情報を集めました」といってリンク先を15件紹介している!なんだか馬鹿にされているように思うのはわたしだけだろうか。ことはさほどに選択に苦労するということである。

かつては選択肢が少なかった。有料だが、プロも使う写真加工(画像編集・管理)ソフトといえばAdobe Photoshopだろう。昔は10万円以上したものであるが、いまはElementだCS3だAlbumだといろんなバージョンができて価格も一万円から数万円になった。愛用者も多いのかもしれないが、わたしは10年前に使って使えこなせなくてあきらめた。機能が多すぎて複雑なのである。プロ用のAdobe Photoshop CS3 Extendedは高機能で、価格も14万円!Nikon一眼レフデジカメより高い。でも使いこなせないだろう。まさに猫に小判だ。

わたしが古くから愛用しているシンプルな無料ソフトがいくつかある。写真や画像の加工・編集・管理のすべての要求を満足させてくれるのではなく、そのなかの単一機能を使うだけである。
psp95
第一がPSP(Paint Shop Pro)である。最初のリリースは1990年である。頻繁に使うようになったのは1995年のバージョンである。Win95には、最新のVistaと同じ機能、Print Screenがあった。キーボードのPrtScを押すとディスプレイ画面全体をコピーでき、アプリケーションに貼り付けられる。ウェブページを表示している画面の一部を切り取って再利用したいときに有用である。しかし、使い物にならなかった。パソコンのメモリ不足のため、しばしばハングアップした。貼り付けても、そのあとアプリケーション(WordとかPowerポイント)での処理が大変で、WordもPowerpointもよくハングアップした。画面の一部分だけコピーできないか?それが欲しい機能だった。

これに応えてくれたのがPSPであった。最初は16ビット、その後バージョン3で32ビットがサポートされた。1995年である。それからずっと使っている。もちろん、切り取った画像の加工ができる。しかも簡単に!今日の最新のソフトが持っている機能もほとんどが使え、お絵かきソフトとしても微細な画像処理もできる優れものである。デザインはダサいかもしれないが、必要な機能十分にあり、しかもプログラムサイズが画像ブラウザも含めて3.6MB(1995 V3.12)という、今日では信じられないくらい小さい。メモリやCPU,グラフィックチップに制限があった昔のほうがソフト開発技術は優れていたのかもしれない。いまはOS(XP, Vista)ばかりが肥大化している。


 20世紀に撮った写真のデジタル化に、このPSP95を使った。Twainスキャナーから読み取り、トリミング、拡大・縮小、明暗・コントラスト、色合いなどを修正したものである。35ミリネガフィルムから読み取ったものは精度も色合いもおかしく、ゴミもついていた。それがなんとか見れるのはPSP95のおかげである。アメリカで半独身時代に週末や年末年始の時間のあるときに整理したものである。

 メインメモリーもHDDも容量は小さく高価だったので、またWebにアップしたとき28.8Kbpsモデム回線接続でのダウンロード時間を考えて、画像の品質とファイルサイズのバランスの取り方をいろいろ研究したのも、このPSP95を使ってだった。

活字文化からマルチメディア文化への移行過程で、デジタル移民になるための基礎を学ぶことができたという意味では、PSP95は私にとって大先生であり、デジタル生活になくてはならない友であった。

※Paint Shop Proは健在である。元はJascという企業が開発したものであるが、90年代末に一世を風靡したCorelが買収し、現在もおなじ製品名で販売している。

※この記事は達磨ブログから転写した。

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