良寛詩歌集

良寛の和歌や漢詩から「肩書きや名誉、金銭等は本来の自己には何の役にもたたない。ごまかしようのないありのままの自分を見つめよう」というメッセージを読み解いていく。

第1回 ありのままの自己を見つめて

良寛ほどありのままの自己」を見つめぬいた人はいない。ときに厳しく、ときに笑い飛ばすような批評眼を通して見つめた人間洞察からは、肩書きや名誉、金銭等は、本来の自己には何の役にもたたないのだ、というメッセージが伝わってくる。そして、ごまかしようのない自己を認めた時、何ものにも惑わされない「自由な生き方」も自ずと見えてくる。自分自身を見つめる方法や何ものにも惑わされず伸びやかに生きるヒントを学ぶ。
【講師】中野東禅,【司会】伊集院光,武内陶子,【朗読】升毅,【語り】高山久美子

第2回 清貧に生きる

「たくほどは風がもてくる落ち葉かな」。貧しく厳しい暮らしの中にこそ、奥深い楽しみや味わいがある...そんな良寛の心が見えてくるような和歌だ。良寛は、徹底して「もたない暮らし」を貫いた。だがそれは決してやせ我慢などではない。ともするとマイナスにもみえる「貧しさ」や「孤独」は、時に自分を見失わないための座標軸を与えてくれるのだ。そこにはモノや情報にあふれた現代人が忘れてしまった洞察がある。

第3回 "人"や"自然"と心を通わす

清貧を貫いたからといって、良寛は決して超俗の人ではない。良寛の漢詩や和歌には、人々や自然への温かいまなざしが常に横いつしている。子供と一緒にまりをつくことに没頭する幸せ、友人と酒をくみかわす楽しさ、質素な暮らしの中でこそみえてくる自然の美しさ。良寛の漢詩や和歌を読み解いていくと、人や自然と心を通わせ、全てを豊かに味わい尽くす達人の境地がみえてくる。第三回は、批評眼に貫かれた良寛の風流の神髄に迫る。

第4回 「老い」と「死」に向き合う

良寛は晩年、老いや病に苦しめられた。彼の漢詩や和歌にはその克明な状況すら描かれている。そこには、全てを言葉で表現し尽くすことで、「老い」や「病」「死」と対峙し、それを人生修行の場としようという良寛の強靭な精神がみえてくる。どんな苦境にあっても、自らを見つめ言葉で表現し尽くすこと。こうした並の表現者には真似できない旺盛な批評精神こそ、良寛の漢詩や和歌の真髄なのである。第四回は、良寛の表現活動を通して、「老い」や「病」「死」との向き合い方を学ぶ。

〔出典〕名著49 「良寛 詩歌集」:100分 de 名著
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