Journal

心に残る言葉


「人間五十年、下天のうちをくらぶれば夢まぼろしのごとくなり、一度生をうけ滅せぬもののあるべきか」
---幸若「敦盛」

「一日は長し、されど人生は短し」---メソポタミアの格言

「明日はもう、いのちなき者のごとくに、今日を生きよ」---マルクス・アウレリウス「自省録」
明日という日が、未来永劫つづくと考えるから、人は今日という日を粗末にするのかも知れない。
マルクス・アウレリウスは、ローマ帝国五賢帝の最後の一人で、後期ストア学派の哲学者でもある。

「芸術は長く、人生は短し」---ヒポクラテス

「少年老い易く、学成り難し」---朱熹「偶成」

「われわれは短い時間をもっているのではなく、実はその多くを浪費しているのである。人生は十分に長く、その全体が有効に費されるならば、最も偉大なことをも完成できるほど豊富に与えられている」
---ローマの哲人政治家セネカ

ショーペンハウアーの「人生の財宝」
1.人のありかた…人品、人柄、人物(健康、力、美、気質、道徳的性格、知性とその完成が含まれる)
2.人の有するもの…あらゆる意味での所有物
3.人の印象の与え方…他人のいだく印象に映じた人のあり方と思惑(名誉、位階、名声)---

「幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである」---トルストイ、1817−1875

行くかはの 清き流に おのづから 心の水も 通ひてぞすむ
  海軍少佐 勝山  淳 
  昭和20年 7月24日「回天」発進、米駆逐艦「アンダーヒル」特攻、散華(享年20歳)

残  照 

一体いつの頃から『人生の残り時間』を計算するようになってきたのだろうか。

二十代の頃、人生とは、希望とスリルにあふれた道の大海原への旅立ちだった。

三十代の頃、人生とは、先の見えた安全航海になってきた。地図も完備し、レーダー設備も整った。経験を積むことにより、突発事故に対するシミュレーション予測もかなり正確にできるようになってきた。が、そのぶん、わくわくしながら毎日を生きていくという新鮮な興奮が失われつつあった。

四十代の頃、人生とは、後悔の連続になった。ああすればよかった、こうすればよかった、あの時こんなこともできたではないか、なぜやらなかったのか。過去の分岐点における選択の失敗ばかりが思い起こされてきた。

そして五十代──『死』という名のゴール地点が、日に日に接近してくる恐怖に脅えはじめていた。その恐怖を忘れるために、彼は何かをしなければならなかった。カウントダウンの段階に入った人生を忘れ、かつて若かった日のように、興奮できる何かを見つけなければならなかった。

「悩みごとを持つのは、裏を返せば、人間が生きている証のようなものだからな」
「歳月は人を待たず 思いついたらすぐ実行するべし」
「喜びや悲しみや苦しみが、その人の魂を育てるものだ。それを
恐れるな。死んでいく、そのときの辛さは今の幸せの一部なんだ」

美しい暮し 
真顔で背負うには重過ぎる人生.
つい容易に手に入る幸せに浸る.
しかし,諦めることなく,少年の心を内にとどめていたい.
人生が何であるかわからないまま終わるかもしれないが,
美しい暮しをしたといつか言いたい.

山への憧憬 
貧乏暇なし。今夏は十何年振りに山登りをやろうかと思い5月の連休中に、古い山道具を引っ張りだし手入れをしたのに。
手垢のついたピッケル、雪山にも耐えるテント、ゴーと頼もしい音をたてて燃え上がるスウェーデン製のラジウス、肩と背中に馴染んだ真っ赤なリュックザック(これは2月のスキーで使ったが)、凍傷を防ぐ防寒具、凍りついた雪渓を登るアイゼン──。
いずれも僕の青春の形見のようなものばかり。強い愛着を感ずる。しかし、これもまたおあづけになってしまう。哀しく淋しい思いである。本を読むことだけがいまの僕のなぐさめみたいだ。

「智照尼」 
煩悩の あす断つ髪の 二度洗う
美しき ものはみな夢 秋の声

英国讃歌 
太陽を愛する者は、すべて衣服を捨てて戸外にでよう─Wordsworth
きみを夏の日にくらべようか──Shakespeare
God made the country, and man made the town. ──Cooper
Let Nature be your teacher. ──Wordsworth
Enjoyable life in the Green Country.

白い雲 
詩の甘さのなかにすべての人間に共通する青春への郷愁がある。
ヘッセの旅の心は「漂泊」。緊張と不安に満ちた旅であった。

「白い雲」
おお見よ、白い雲はまた
忘れられた美しい歌の
かすかなメロディーのように
青い空をかなたへ漂って行く。

長い旅路にあって
さすらいの悲しみと喜びを
味わいつくしたものでなければ
あの雲の心はわからない。

旅の秘術 
ただ目的だけをせわしなく求める目には、
さすらいの甘さはついには味わわれない──

ああ、幸福な日、アルプスは赤く燃えています──
さあ、明るい広い世界をあなたに示し、
立ち止まり、深い喜びに
長い間あなたと一緒に黙っていたい──

──谷々からおごそかに、夜が、
額を雲に包んでのぼって来、
軽い足どりで、絶望と前年の雪を見えなくします。
私はそれをながめていますが、
あなたがいなくては、何になりましょう?──

──明るい日々をひとりで楽しみなさい!
でも星のない夜が来て、
あなたの心が暗く、せつなく
私を求めることがあったら、
私はきっとあなたのそばに行きます。──

私たちふたりは、暗い夜になると、
すぐに同じせつない郷愁に苦しむ。


寅さんの故郷 

愛郷心
寅 帰るところがあると思うから、いけねえんだよ、失敗すりゃ、いつだって故郷
に帰りゃいいと思ってるからよ、俺いつまでたったって一人前になれねえもんな
あ。(第6作・純情篇)

故郷人生論
飃一郎 わしは信州の安曇野というところに旅をしたんだ....(中略)ポツンと一
軒の農家がたっているんだ....。(中略)庭一面に咲いた、りんどうの花、あか
あかと灯のついた茶の間、にぎやかに食事をする家族たち....わたしはその時,
それが....それが本当の人間の生活ってもんじゃないかと....ふと、そう思った
ら、急に涙が出てきちゃってね....。(第8作・寅次郎恋歌)

お墓までも
信子 うちの子なんか故郷は団地よ、千里ニュータウンの。
修 お墓も団地だな、この分じゃ。(第32作・口笛を吹く寅次郎)

Back  Next