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麻績村・聖高原

松本から篠ノ井線で長野に向かう途中に聖高原駅がある。1960年代末には「麻績駅」と言った。駅からバスで1時間ほど山に入ったところに「学生村」があった。聖山(1447m)の近くだったと記憶している。当時、村おこしの試みとして村の意欲ある若者たちが始めた。夏でも涼しく、快適な勉強と憩いの場を都会の若者に提供していた。一泊三食付きで3000円ほどの格安料金だったと記憶する。

学生時代の夏休みに数週間ほど過ごしたことがある。横浜から受験勉強に来ていた高校生二人と友だちになり、はじめて「~ジャン」言葉に接した思い出がある。午前7時に朝食を終えると清々しい空気を胸いっぱいに吸いながら高原をあてもなく散歩し、お昼は涼しい風が流れてくる畳の部屋で本を読み、眠くなるとしばし昼寝。3時にはおやつが出て若女将や仲間たちと談笑する。夕刻にまた散歩し、高原に沈む夕日を眺めて帰ると夕食だ。共有場所は9時消灯だった。窓から満天の星を眺め、虫の音を聴きながら過ごした記憶が蘇る。10時過ぎには就寝し、翌朝6時起床という健康的な生活をした。

「学生村」は1980年代に衰退し、その後聞かなくなった。今では死語になっているようだ。昔を懐かしんで聖高原駅で途中下車したが、学生村があった場所は分からなかった。聖山の近くだという記憶だけでは特定できない。駅員に聞いてもまったく知らない。もちろんバス路線もない。集落を周回する村営バスがあるが、一日数本しか走っていない。住民に聞いても知っている人はいなかった。訪ねることは諦めて駅周辺を散策するだけにとどめた。


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2012

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