
1971年当時、槍ヶ岳に登る人気のコースは"表銀座"と呼ばれた。中房温泉から燕岳に登り、稜線に沿って大天井岳~西岳~東鎌尾根を経て槍ヶ岳に登頂する三泊四日のコースである。
三日目、東鎌尾根を歩いているとき、槍ヶ岳上空にヘリコプターが現れたのを見ていると、突然きりもみ状態になって槍沢に墜落した。夏山取材の新聞社ヘリなのか、山小屋への物資輸送のヘリなのかは分からなかった。後にも先にも、ヘリが墜落するのを目撃したのはこのときだけだ。死者がでる大事故ではあるが現実のこととは思えず、模型のヘリコプターが失速して落ちたかのようだった。
※写真は、後日槍ヶ岳に登った人が撮影したもので、私が目撃した墜落事故のヘリと同じのようだ。8年後、遭難救助に当たっていた航空自衛隊のヘリが槍ヶ岳山荘に墜落した事故の記録があったので参考に添付した。
槍ヶ岳登頂後、大喰岳~中岳~南岳から大キレットを越して北穂高まで歩き、その日は北穂高小屋に泊まった。翌早朝に奥穂高に登り、前穂高から岳沢を下って上高地に着いた。総歩行距離はおよそ32km、20時間くらい歩いたと思う。※表銀座コースの標準タイムは槍ヶ岳まで約15時間。中房温泉から燕山荘まで約6kmは、標高差1300mで登り5時間かかる。燕山荘からは、数回キレットを超えるがそれ以外は稜線を伝うように軽快に歩いたと記憶する。
- 地図閲覧サービス(喜作新道) 国土地理院
- Wiki-表銀座縦走コース
- 燕山荘グループ
- 槍ヶ岳山頂での墜落事故の記録~1978年5月11日遭難救助ヘリの墜落~