兼六園

金沢は、5年前富山からの帰りに訪ねた。思えばそれがぶらり旅の始まりだった。当時は体重が78~80キロで、なんどかギックリ腰になり、おまけに頚椎狭窄症で左手が痺れて痛く・・・と最悪だった。足腰が弱っており、兼六園の坂道さえ辛かった。夕方大池でクラシックの生演奏があるというので再度出かけたが、坂道の階段でつまづき顔面着地してしまった。手に持っていた一眼レフを守ろうとしたためだったが、レンズフードは壊れてしまった。幸いカメラは大丈夫だった。さらに、紅葉がきれいで、反り返るように見上げていたらまたギックリ腰になり動けなくなった。そんな苦い思い出が甦ってきた。
この日は雨模様だったが時折り雲が切れた。手入れの行き届いた庭園は美しいかった。歩道横の落ち葉を取り除いていた作業員に訊くと毎日365日掃除をしているという。シニアの入園料は無料だというのが申し訳ないように思えた。
散歩は雨模様だったので2時間ほどで切り上げ、ブランチを食べた後、金沢10時55分発の列車に乗った。次の12時10分初に乗れば松本に18時過ぎに到着する。どこかで途中下車して1時間余り歩ける。スマホで地図を見たり検索したりして、市振駅で下車することにした。市振の関があり、芭蕉も立ち寄ったと知ったからだ。
市振関所跡

北陸本線下り列車で富山から先へ行くのははじめてだった。滑川~魚津~黒部駅までは富山電鉄とほぼ平行に走っているので窓外の風景には覚えがある。むかし黒部への行き帰りに数度乗ったことがあるからだ。泊駅をでてまもなくすると日本海が見えてきた。糸魚川まで海岸線に沿って走る。市振の駅のすぐ近くが海だった。ホームに降り立つと日本海からの風にあおられる。小雪が舞っていた。無人駅で、駅前は閑散として店らしき建物はひとつもない。崖が迫っている。崖と北陸本線の間を国道8号線が走っている。
Googleマップを見て駅の西側にある「市振の関」まで歩いた。歩道があるが雪と氷で埋まって歩けないので車道を歩く。交通量は多くない。徒歩15分弱でそれらしきところに着いたが、ラーメンの看板を掲げた店と道路情報センターの建物があるだけだった。トイレ休憩の道の駅だった。
Googleマップの「市振の関」が、市振関所跡だとてっきり思っていたがマチガイだった。店のおばさんに訊くと、まったく反対の駅の東側だと分かった。来た道を戻る破目になった。市振関所跡は、市振小学校の東南の隅にあった。駅から徒歩10分あまりのところだ。芭蕉が泊まった宿の跡が近くにあると聞いたのだが、次の列車に間に合わなくなるので訪ねるのをあきらめた。乗り遅れるとさらに2時間待ちになってしまう。