因幡街道の旧宿場町で、古来より交通の要衝地だった智頭。亡き親友の生まれ故郷である。三回忌のお墓参りに訪ねた。実家を継いだ兄はすでに他界していたが、兄嫁が健在で家を守っている。兄とは歳がかなり離れているので、兄嫁は彼の小学時代のこともよく知っていた。誰にも好かれる人柄で、生徒会長も務めていたことなどを話してくれた。
この日は、地元で「雛あらし」と呼ぶ催し日だった。家々の格子戸を開放して、居間に飾ったお雛様を披露していた。兄嫁も祭りの準備などで忙しにも関わらず、あれこれ気を使ってくれた。一人息子が一時期、友人と東京で同居していたことがあったが、今は智頭に戻り実家を継いでいた。その息子の運転で、兄嫁が智頭近辺の見どころを案内してくれた。