初めて吉野を訪ねた。近鉄吉野線・橿原神宮前駅から終点の吉野駅まで1時間弱。高校時代の友達の何人かは吉野出身であり、彼らの自宅近辺へ遊びに行ったり、弟の嫁が吉野出身だったり、村の近所に吉野から嫁いできた人がいたりするので、吉野は身近に感じる。
実家から吉野まで30km(横浜~品川とほぼ同じ)、車で1時間もかからない。電車でも乗換え時間を含めて1時間半くらいであるが、観光で訪ねたことはなかった。吉野の桜が全国的に有名であり、秀吉が盛大な花見をしたことも、後醍醐天皇の行宮があり南都の中心だったことも歴史として知っているだけだった。
吉野に興味を持ったのは若かりし頃の空海が吉野に籠もって山岳修行をしたという話を知ったからである。高野山開創1200年に向けて、空海が吉野山から高野山まで歩いたという記録に基づいて、その足跡の調査、選定を行うプロジェクトが発足したというニュースを読んだ。
奈良県人として少しは吉野のことを学ぼうと思う。机上ではなく先ずは当地を訪ねようと思って行った。吉野駅から山に登るロープウェイがあるが、乗るつもりはなくその西側にある山道を歩いた。下千本までさほど時間はかからない。桜の季節は終わっていたが、ところどころに遅咲きの桜があった。
金峯山寺(きんぷせんじ)、吉水神社を経て中千本まで歩く。バス停近くに東に下る道があった。山間をうねるように下ると吉野温泉元湯に出た。吉野駅まで数十分の距離だった。今回は下千本、中千本しか歩かなかった。いつか機会を見つけて奥千本まで歩いてみたい。