富山市内での講演を終え、帰りは飛行機ではなく、のんびりとローカル線の旅をすることにした。宇奈月温泉、高山方面、白川郷などを思いついたが、北陸本線で高岡、金沢、福井を経て米原に向かうことにした。
天気は曇り時々雨だったが、市内から北アルプスを遠望できた。剣岳、立山連峰を縦走した日々を懐かしく思い出す。山とスキーを楽しんでいた頃がいちばん輝いていたのかもしれない。雪を被ったアルプスを眺めていると無性に登りたくなるが、若かりし頃の体力と気力はいまはない。のんびりと電車で思いつくままに途中下車しながら横浜に帰ろう。
最初の途中下車駅は高岡にした。地図を見ると、高岡古城公園があったからだ。20分ほどで着いた。雨は小降りになっていた。市内をのんびり歩く。レトロな昭和を感じさせる通りがあった。
高岡城址まで徒歩で十数分くらいだ。こじんまりとした平城の天守があった。大垣城を思い出す風情だった。城址公園内をあてもなくそぞろ歩きする。お堀端を歩いていると対岸に紅葉が見えた。散策路が延びていた。雨に煙っているが見事な紅葉がそこかしこで見れた。人影はほとんどない。ゆっくりと紅葉を楽しみながら時間の流れに身を任す喜びをかみしめる。